
小さい頃から学校に行きたくないし、勉強もしたくない
ただただ自分の興味の赴くままに生きていたいなって思っていた。
小さな花を見つけて、それを観察してスケッチして、どんな植物なのか調べることは大好きだ。
ちょっとした理科の実験みたいなのも好き。料理もそれに似たようなものだし。
それを勉強と言うなら勉強は大好き。
決まった作業を毎日繰り返すのは苦痛でしかない。毎日同じ料理を作るのなんて想像するだけでゾッとする。
何かに夢中になっているときは、食事なんてどうでもよくて、
熱帯地方でバナナやマンゴーが食べ放題だったら、もう食事はそれでいいやって。あとは興味の向くままに好きなことをやっていたい。
でも、そんな生き方はこの世界では出来ないのだろうな。
ヒトとして生まれてしまったら、どこかに所属して、働いて、税金を払って、何かしらの社会の役に立たないといけないのだろう。
今まで野良猫を見て「お前はいいなぁ」って何度そう思っただろう。
そんなことを言ったら野良猫に失礼かもしれないが、気ままに生きる野良猫が羨ましいと思っていた。
何か楽しいことがあると、そのときは「生きてて良かったー!」「人間に生まれてきて良かったー」と思うのだけどね。
イヤなことが立て続けに起こると、いい年になっても野良猫になりたいって思う時がある。
それはホームレスになるのとは違う。たぶん。
なったことがないからわからないけど。
ホームレスだって、今の自分のすぐ隣にあると思う。
いつも「死」がすぐ近くにあるように、ホームレスもすぐ近くだ。
仕事なくなる、収入なくなる、夫婦仲悪くなる、離婚、家を出る、住むとこない、金ない、家族に連絡されたくないから生活保護も受けられない、とりあえずここで雨をしのごう、
もう、とんとん拍子だと思う。
流石にこの歳でホームレスは体に堪えると思うので、自らそちらに好んで行くことはないだろうが、いつそうなってもおかしくはないと言う気持ちでいようと思っている。
ここ最近、「生きていくって結構大変」って思うことが多い。
つい数年前まではそんなこと思うことはなかったのに。
5年ほど前だろうか。散歩していて迷い込んだ住宅街で、70歳手前くらいのご婦人が80代半ばのお婆さんに暗い雰囲気で喋っていた。
ふと聴こえてきた言葉が
「生きていくんて、大変なんやなぁ」
「そやで」
と80代のお婆さんが70代のおばさんの肩をトントン叩いて励ましていた。
何か辛いことでもあったのかな?って、そのときはそれで聞き流していたのだけど、
今はなんとなくその風景が印象的にまぶたに焼き付いている。
「生きていくのって大変なんだよな」
その言葉をつい最近、息子から聞いた。
結婚して、子供が生まれて、安月給で必死に働いている。
毎日元気に頑張っているが、子供の将来を考えると今の収入で不安になるのだろう。
「お父さん、生きていくって大変なんだね」とポツリと呟いた。
どうしてこんなに頑張って頑張って生きないと行けないのだろう。
もっとグ〜タラと生きられないのだろうか。
負け組になりたくない。そんな言葉もよく耳にする。
人生に勝ち負けなんてないのに。誰もそんなこと決められないのに、自分で決めちゃうのだろうな。
明日も朝はやってくる。
多分、明日も目が覚めていつもの生活が始まる可能性が高いと思う。
みんなぐ〜たらしていたら自分もぐ〜たらするんだけどな。
でも、働かないといけないんだよね。
そんな諦めの境地で生きていくのも嫌だから、きっと元気な振りして生きていく。自分だけじゃない、みんな大変なんだって思って。