この仕事にむいてない。
父親にはむいてない。
夫にはむいてない。
結婚にはむいてない。
コツコツやるのはむいてない。
人前で話すのはむいてない。
サラリーマンにはむいてない。
いろんな「むいてない」があって、
失敗を今日もまた一つ重ねるごとに、
「むいてないかも」が「やっぱりむいてない」にかわっていく。
でも続けてうまくいったりすると、
「まんざらじゃないかも」って思ったりする。
でもまたやらかして落ち込んで、
「やっぱむいてないわ」って思って。
そんなことをダラダラ繰り返しながらここまでやってきた。
次は失敗しないようにと工夫して、
それで上手くいって気を良くしたり、
また失敗して、
小賢しく誤魔化すテクニックも覚えたりもした。
他人からは「天職ですね!」なんて言われて、
「そう見えますか!?」って驚いたりして、
それを強く否定するのも面倒だから、
「そうなんですかね?」とお茶を濁す。
自分で「むいてない」って思うのは、
自己防衛反応なのだろうか?
就職してすぐに「むいてない」って思ったら、早めに転職した方がいいのだろうか?
いろいろやってみたら天職に巡り逢えるのだろうか?
それとも辛抱して長く続けた結果として、それが天職になるのだろうか?
もう今更そんなことを考えても遅いのだけど、
若い人から「自分、今の仕事むいてないって思うんすよ」って言われた時に、
うまく答える自信がない。
「たった3ヶ月で何言っているんだ!自分で決めた事だろ!」とか、
「そう思うなら今すぐやめた方がいい」とか、
「とりあえず、あと1年頑張ってごらん」とか、
自分はあんなに悩んで「いつかそのうちやめてやる」って思いながら、
ダラダラとここまで来ちゃったのに、
どの口が偉そうに言うんだってことだ。
天職にもならなくていいし、好きなことが仕事にならなくてもいい。
とりあえず死ぬほど辛くなく、他人よりちょっとそれが上手くできることで、
収入を得られればいいなってくらいでいいのかもよ。
人の役に立つとか、社会の役に立つとか、
そうでなくちゃ生きている意味ないとか、
そこまで気負わなくてもいいと思うよ。
また成り行きでどうなるかわからないし、
「向いてる」って言葉だっていい加減なもんなのよ。
って、若者にアドバイスしても、なんの役にも立たないだろうな。
あの頃の自分だったらどう言って欲しかっただろう?
「ウンウン」と聞いてあげるだけでいいってことだな。
うん。
今年もいつもの日程で梅の花が咲いてきていた。

そして、
ここまでやってきちゃったら、
むいているとか、むいていないとか、
もう今更どうでもよくなってる。