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ひとりごと 子育て

キュウジョウに行くか?

投稿日:

 小学生の頃に明治生まれの祖父にそう聞かれた。

 「キュウジョウに行こうか?」

 北関東の田舎から鉄道を乗り継いで東京へと向かった。

 「キュウジョウ」といえば、てっきり「後楽園球場」だと思った。そこで巨人戦を観戦するとばかり思ってワクワクした。

「キュウジョウは見たことあるか?」という祖父に、「テレビでは見たことあるけど」と答えた。

 でも着いた場所は違っていた。

 もうお察しかと思うが、到着した場所は「球場」ではなくて「皇居」だった。

 島倉千代子の歌じゃないけど「ほら、あれが二重橋だな」と仏頂面で教えてくれたように思う。小さい頃だったので詳細はほとんど忘れている。

 当時、戦前生まれの人は皇居とは呼ばず「宮城(きゅうじょう)」と呼んでいた。「皇居」になったのは戦後からなのだ。

 またある時は、祖母と一緒に、東京に住む親戚の家に行った時に初めてカフェ(喫茶店)に入った。「お紅茶」を注文して緊張しながら待っていると、ソーサーの上にのったティーカップとともに出てきた。「お砂糖を入れて、スプーンでかき混ぜたらそのスプーンをカップの向こう側にそっと静かに置くんだよ。あーあぁ、スプーン舐めないで。そう、カップをくるりと回して取っ手を右に向けてから音をたてずに飲む。」

 正式な飲み方はわからないけど、そんな風に教わったと思う。紅茶の飲み方も、20世期はじめはティーカップに入った紅茶をソーサーに移して、ソーサーから飲んでいたと言うし、こんな常識も今では「え?」って思ってしまう。

 レストランに初めて連れて行ってくれたのも祖母だった。「両端のナイフとフォークから使っていく。」「ナフキンはここ」「音をたてない」「スープはこうやってすくって、すするのでなく食べる感じだよ」そんなことを教えてもらったと思う。

 ナフキンが正しいか、ナプキンが正しいか? それより、イギリスで「ナプキン」は「おむつ」のことで、アメリカでの「ナプキン」は、口を拭う為のもの、そして生理用品のことを言うらしい。これもネットで見つけて驚いたことだけど、いろいろなんだなって思う。

 新幹線に初めて乗せてくれたのも祖母だった。車窓を猛スピードで流れる景色に目を丸くして「速ぇ〜!」と声を上げたことを覚えている。確か、新横浜か小田原までの往復で、とんぼ返りだったと思う。ただ新幹線に乗ることだけが目的の小さな旅だった。

 自分に孫ができて、どのように接したらいいのだろう?って考えてみる。5人も育ててきたはずなのに、孫となるとどう接していいのかわからなくなる。そんな時、結局は自分が祖父母に何をしてもらったかということを思い出す。書物を読んだり、今まで見聞きしてきた祖父母像を考えてみるが、結局やっていることは義父母や自分の両親が私の子どもたちにしれくれたこと、そして、祖父母が自分にしてくれたことをなぞっていくことが多い気がする。

 きっとこういうのは良いも悪いも続いていくんだろうなって思う。

-ひとりごと, 子育て

執筆者:


  1. アプリ より:

    キュウジョウ、球場ではなくて宮城ですか。
    確かに宮様のお住まいは城だから、戦前はそう呼ばれていたのですね。

    はじめてコーヒーや紅茶を飲んだのはいつだろうか?
    小さい子供のときはまだ親が飲んでなかったから、飲む機会がなかったように思います。
    インスタントのコーヒーを知って、レギュラーコーヒーを飲むようになったのは大人になってからだったと思いますね。喫茶店に入って自分でお金を払えるようになってコーヒーの豆の種類があることを知って・・・

    私の祖母は明治時代の人、着物姿で我慢強い、そんなところは血を受け継いでいるかもしれません。とても温和で優しい田舎のおばあちゃんでしたね。

    ナプキン、確かにね。生理用品の方はナプキンって言うけど、高齢者などが使用する方はパッドと呼んでいますね。
    テーブルナプキンはノリがきいた真っ白のものが出てきて、そういう場所はちょっと緊張します。

    • KURI より:

      アプリさん
       「ナプキン」と「パッド」ほんとだ、確かにそうですね。
      テーブルナプキンは、近頃、食べているときにこぼすことも多くなったので、白っぽい服を来ている時はあらかじめエプロンをするようになりました。
      最初は「なんだかなぁ」って思いながら付けました、もう慣れました。(^_^;)

  2. しんちゃんママ より:

    >宮城
     →『きゅうじょう』で思い出しました。
       道標や庚申塔などの 石造物が大好きで、
       松戸市の郷土史石造物研究サークルに約10年加入し,市内を調査。
         →メルアドにも、石造物名が入っています。
      約20年前に、松戸の高台にある神社を調査に行った時、
      「宮城 拝??」と刻まれた石造物を発見。
      「みやぎ?」と言ったら、講師役のI先輩が、
      「きゅうじょうと読み、皇居を拝んだ場所だよ!」と教えてくれました。
      方向的にも皇居を向いていました。

    • KURI より:

      しんちゃんママさん
      >「宮城 拝??」
       遥拝所(遥拝じょ)でしょうか? こちらでは「伊勢遥拝所」はありますが、「宮城遥拝所」は見たことないです。面白いですねー。(^_^)

  3. しんちゃんママ より:

    伊勢遥拝所は初めて聞きました。伊勢は尊い場所なんですね。                                                                                                            

    >宮城遥拝所
    →『松戸市 石造物遺産』という図鑑のような分厚い本があります。  
       市内の2040基の石造物を1基1基、写真入で記録した本。
       発行された週に、即購入。

    それで調べたら、ありました。
     【宮城遥拝所 御成婚記念 大正13年1月26日 〇村青年団〇▼支団】 
       大きさ128×59×6  

    ☆この年は大正天皇ご病気の為摂政に就任されていた後の昭和天皇が
    ご成婚なされた年とのこと。

    〝きゅうじょう〟から、いろいろ勉強になりました。

                    

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