小さい頃は汲み取り式のトイレで、便座は床から一段高くなったところに和式のものがあった。
そこで小用を足すときは、立った状態でその和式の便器に向かって放った。しかし、当然のように左右に飛沫は飛び、小学生の頃などは便器の周りをビシャビシャして母親によく叱られたものだった。
「こぼしたらちゃんと拭いておいてね」と優しく言ってくれる母だったが、子供ながらに「これは構造的におかしい」と思っていた。
あれから50年以上経過して、便器の形も和式から洋式に代わったが、どれだけ飛沫が飛ばないように工夫されたかというと、思ったほど改善されていないのが実状である。
外出先であれば、男子小用の便器があって、それは以前よりも色々と形状的に工夫されてきたが、それでも「一歩前へ」出ないと、辺りは飛沫だらけになることも多い。
自宅において、自分一人で暮らしているときはまだ良かったが、結婚して家族ができるとかなりそのあたりはシビアになってくる。ちょっとした数滴の細かい飛沫でも他人のものだと気になるものだ。手を洗った後の飛沫なのか?それともそのものなのかは区別がつかなくとも、すべてはそのものと判断される。
近頃は意地になって立って用を足すことに拘らず、座ってやることが多い。しかし、これは今でも少々の屈辱感を味わうのも事実なのだ。
小学生の頃に学校で座って用を足していたのを見られたら間違いなく「こいつ座っておしっこしてた!女だ女だ!」っていじめられたことだろう。こんな歳になっても、まだそういう「いじめ」の恐怖というものが密かに潜伏していることにも自分で驚くほどだ。小学生の頃は、休み時間に大きい方の個室にも入ることが出来なかった。もし入っているのがバレたなら、大声で「〇〇がウンコしてるぞ!」「下から突こうぜ!」「上から水かけろ!」となる。信じられないだろうが、それが男子社会のその当時の現実だったのだ。だからこそ、下痢ばかりしていた私は学校のトイレが恐怖でしかなかった。
その話はまた別として、小用の方だ。
自宅の便器はこんな感じのよくある洋式便器。

蓋を開いて、便座も立てて、さて便器のどこに当てれば一番飛沫が飛散しないのだろうとか考えて放つ。
これは今までの経験上、水溜りの奥の垂直の壁に当てると却って飛び散るような気がする。ベストな場所は、水溜りの手前のなだらかな斜面。どこに当てても跳ねるのだが、まだその中でも水溜り手前の斜面がハネが少ないと思う。
しかし、それで用を足した後は、よくよく周りを見れば間違いなく飛沫が飛んでいるわけであり、雑巾やペーパーで拭き取らないといけないのだ。なぜ男子だけがこんな余計なことをしなければならないのだろう?と憤慨するばかりだが、こればかりは仕方ない。
結果的に用を足した後の雑巾掛けが面倒になり、ズボンをおろして座って小用を足すということになる。小さい頃からそういう習慣が出来ていたならいいのかもしれない。だからと言って、これから子育てをする場合に、男の子もズボンをおろして小用を足す習慣を身につけさせてそれを当たり前にするべきなのだろうか?それはわからない。そのうち、「僕は立っておしっこしたことがないです」という人が出てくるのだろうか?そんなことも考えてしまう。
きっと便器を作るメーカーさんも色々と考えているはず。トイレ掃除をさほどやらなくても公衆トイレがきれいに保てれば、それだけ人件費も浮くわけであるし、需要は多いと思うのだ、飛沫が完全に防げる便器はいまだに開発されていない。
やっぱり「座ってやれ」ってことなんだろうな。

先日はネットのニュースで「女性用小用便器」を見た。立って用を足すタイプで、見た目は男子用の小用の小さいタイプという感じ。
このタイプを使用すれば、女性が小用を済ませる時間が3分の1に短縮出来るとのこと。
さて、女性が立って小用を済ませることを受け入れることが出来るのか?男性が座って小用を足すことを受け入れたが、女性はどうなのだろうか?想像すらできない。
実用化する気がまったくしないのだが、それもわからない。
若い男性は全部座ってる人が多いみたいですね、コンビニのトイレも必ず座ってくださいって書いてあるところもあります、だんだん足腰弱くなってるので、そうなる日も近かいかな・・・
Akiさん
>若い男性は全部座ってる人が多いみたいですね、
そうなのですね。さすが若い人は適応力がすごい。
私も近頃はほぼそうなりました。
ここ2週間、便器について、いろいろ学び(?)ました。
トイレがきれいになったので、こまめにそうじしようと思っています。
しんちゃんママさん
最近の便器は、人を感知して蓋が開いたり、終わったら自動的に流してくれて、便器も毎回洗剤で洗ってくれるのもあって、どこまで自分でやればいいもんだか。
これからどんな便器に変化していくのか楽しみなところもあります。