歯の隙間にものが挟まると気になって仕方がない、
そこを避けようとして食べると
食べ方まで変わって口の中あちこちに支障を来たすようになってしまう。
歳と共に、そんな隙間が多くなってきたように思う。

心も同じで、
自分では気がつかないうちにあちこち隙間ができてほころびもあるようだ。
心も長年のかさぶたとほころびで
心はいつしか自分の思っているのとは違うものになっている気がする。
気持ちの上ではいつまでも少年なのだが。
五十代後半のおじさんになればもっとドシっと落ち着いた存在になれると思っていた。
第三者から見ればそう見えているのかもしれないが、
自分の中ではまだまだ崩れやすくホロホロの焼き菓子みたいなものだ。
口溶けはよく甘いかもしれないが、
ちょっと強く掴まれただけでボロボロっと崩れてしまう。
それが隙間に挟まるとこれまた取りづらい。
心の隙間に挟まるものは、
放っておいて勝手に取れてしまうものも多いが、
こまめに取らないと面倒なものもあったり、
それを放置しておくと後々面倒になることもあって、
「あぁ、あの時にやっておけばよかった」
なんてことばかりの日々でもある。
そんなことばかりが続いても、
日々と時間は刻々と移り変わっていって、
後悔は絶えず付きまとうものの、
それでもちゃんと今こうやって元気に生きているのだ。
心の隙間にはいつも何か引っ掛かっては外れていく。
ちょっとの間そこに停滞っていても、
気がつけばまた無くなっている。
いつもそれの繰り返し。
心の隙間に入り込んだものを
簡単にちょいと取れるならいいのにって思う。
そんな心の爪楊枝が欲しいぞ。
