
高倉健さんの遺作となった作品。大滝秀治さんの遺作でもある。
脇役さんが、気合の入った演技していると言う印象。
やはり健さんの人徳なのか。
人生は長いようで短く、短いようで長い。
自分はこの人生で何をやってきたのだろう?と考えた時に、それほどいくつも指を折れる出来事もない。
過ぎ去ってしまったことは、すでに夢のようでもあるし、5人の子を育てたことも、「あぁ、そんなこともあったなぁ」と思ってしまうこともある。
あの時はどうしてあんなことにこだわってしまったのだろう?ということもあるし、どうしてもっと追求しなかったのだろう?と思うこともある。
映画の中の高倉健さんの目に、田中裕子さんの目に、そして、大滝秀治さんの目に、その人の人生の深さが感じられる作品。
なんてことないありふれたセリフでも、大滝秀治さんが口にすると涙が出てくる。
「久しぶりに、きれいな海ば見た」
たったこれだけのセリフなのに、人を感動させてしまう。
大滝秀治さんは、映画公開されたその年に亡くなり、健さんはその2年後に亡くなる。
この作品を作った降旗康男監督。健さんと一緒に「鉄道員」も撮っているが、その降旗康男監督も昨年2019年に鬼籍に入っている。
昭和の良いところを凝縮した映画にも感じた。