今ここから

なんだかんだで人生飽きないように好奇心だけで生きてきたけど、こんなんでよかったのかなぁ?と言うブログ。

映画

映画「いわさきちひろ〜27歳の旅立ち〜」

投稿日:

 没後38年が過ぎたいまも多くの日本人に親しまれている絵本作家・いわさきちひろ(1918~74)の知られざる人生に迫ったドキュメンタリー。夢をあきらめて親が望む結婚をしたちひろだったが、不幸なかたちで夫と死別し、戦争で家も失ってしまう。その時27歳だったちひろは、絵で生きていく決意を固め、単身上京。家出同然の再出発から、運命の人・松本善明との出会いや再婚、失業中の夫を支えた日々や仕事での孤立、病気との戦いなど、その波乱の人生をたどっていく。

映画.com

 インタビューなどを交えながら、生まれてから亡くなるまでのいわさきちひろの人生を追うドキュメンタリー映画。

 いつ知ったのかわからないが、気がついたらちひろさんの絵はいつもそばにあった気がする。妻も好きで、カレンダーも購入していた。そのカレンダーの絵を切り取って飾れるように額も購入して部屋に飾ってある。

 水彩の滲みによって描く子どもたちの絵は、いつまでも見ていられる。線で描かず滲みで描き出すその表情が、見ているこちらの心を揺さぶる。

 どうしてあんなにやさしい子どもの絵が描けるのだろう?ホワホワっとした柔らかい子どもたち。まだかたちづくられていないヒトを上手に表現していると思う。

 ルノワールの描く女性が当初酷評されたように、ちひろさんの絵も「こんなぼやけた描き方せずにしっかり描けばいいのに」と評価されなかった。しかし、ある人は「君にはこう見えるんだろ?それならそれを押し通せばいい」とアドバイスしてくれる。

 望まない結婚と悲しい別れ。大空襲で炎の中を逃げ惑い、家も焼かれ全てを失う。そんな絶望の中から生み出される子どものやさしい表情が、見る人を惹きつけるのだろう。

 信州安曇野のちひろ美術館に家屋で訪れたのはもう何年前だろう? ちひろさんが体験された辛い出来事を思い起こすのがむずかしいくらい、明るく清々しい美術館だった。広々とした草原を歩いて行った先にあるその美術館は、子どもがお父さんやお母さんと朗らかに笑っている場所だった。

 その子どもたちの笑顔のずっと向こうには、ちひろさんの辛い出来事があってのことなんだなって思わされる。たくさんの悲しみから滲み出るその笑顔は、人の心を揺すぶるひとつの雫になるのだろう。

-映画

執筆者:


  1. しんちゃんママ より:

    いわさきちひろさんの絵、大好き。
    タッチも彩色も・・・。

    >松本善明
     ⇒議員さんでしたよね。名前は知っています。

    • KURI より:

      しんちゃんママさん
       >松本善明⇒議員さんでしたよね。
       ご存知でしたか。私は調べてみて初めて知りました。共産党の議員さんだったみたいですね。

  2. アプリ より:

    しっかりと描いていないぼやっとした感じが優しくてほんわかとして好きですね。

    27歳で何もかも失って上京とは、それが絵に情熱を傾ける引き金になったのですね。
    あの絵の裏には、つらい絶望が、だからこそあの優しい子供の姿なのかしら。

    • KURI より:

      アプリさん
       私もちひろ美術館に行って彼女の人生を知ってびっくりでした。それでまた絵を見る目が変わりました。

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

映画「Fukushima50」

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故で、未曾有の事態を防ごうと現場に留まり奮闘し続けた人々の知られざる姿を描いたヒューマンドラマ。2011年3月11日午後2時46 …

映画「天使がくれた時間」

 ニコラス・ケイジって名前はよく知っているし、顔もすぐに出てくるのに、作品が思い浮かばない。  何に出ていた人だっけ?って出演作品を上からずっと眺めていると、ほとんど見たことなかった。なのにどうしてこ …

映画「たそがれ清兵衛」

 自分の別のブログを見たら、2009年に2回目の鑑賞をしていた。おそらく3回目の鑑賞。  観るごとに違った味わいがある。自分もいろいろなことを経験した蓄積を背負っての鑑賞だから違っても当然かもしれない …

ドキュメンタリー「ビンラディン殺害計画の全貌」」

2011年5月、アメリカ同時多発テロから10年を経て、海軍特殊部隊SEALチーム6が首謀者のオサマ・ビンラディンを襲撃、殺害した。オバマ大統領や元CIA長官、ビンラディンを追跡した諜報部員や襲撃を決行 …

映画「ロッキー4」

かつて、2度にわたり壮絶なヘビー級タイトルマッチを演じたロッキー・バルボア(シルヴェスター・スタローン)とアポロ・クリード(カール・ウェザーズ)は、リングの上では宿敵だったが、今では固い友情で結ばれて …