

カナダの女性画家「モード・ルイス」の半生を描いた映画。
モードは、生まれながらの若年性リウマチを患っており、手足が思うように動かない。背も小さく、歩き方も不自然。そんな見た目のために、小さい頃から奇異な目で見られていた。
両親を亡くしてからは、叔母の家に預けられていたがよく思ってもらえず、耐えかねてその家を出て、漁師で一人暮らしをする男・エベレットの家に家政婦として住み込みで入る。しかし、その家はポツンとたつ一軒家。4m四方しかない小さな家。1階はワンルームでキッチンとソファと椅子。ロフトが寝室でベッドが一つ。
エベレットはきつい言葉でモードにあたる。「この家での順番は、俺、犬、鶏、そしてお前だ」。部屋の掃除や食事の支度をやるが、体が思うように動かずなかなかお気に召してもらえない。それでも、エベレットはどこか優しいところもあった。
少しずつ空いた時間に好きでずっと描いていた絵をはじめてみた。メモ用紙に描いてみたり、壁に描いたり、少しずつ。ある時、魚を売りに行く客宛に渡すメモに絵を描いてみたら、それが少しずつ評判になり、それを売ることができるようになる。
新聞やテレビにも取り上げられるようになって、絵を買いたいという人も訪れるようになっていく。
そんな彼女を応援するような、鬱陶しく思うようなエベレット。そんな葛藤がある中でも険しい顔をしつつも深い愛情を見せていくエベレット。
小さい家で、二人だけで暮らしていく中で、その時はよくわからなかったが、幸せというのはこういうことだったのかと思わされる作品。自分のことと重ねながらじんわりと心温まる映画だった。
2枚目の写真がモード・ルイスご本人。なんとも愛くるしい姿だ。