
伊坂幸太郎原作の短編集の映画化とのこと。原作は読んでいないが、そう知って納得。
前半に幾つかの家族の話がそれぞれ進められて、その人脈が微妙に繋がっている。後半はその10年後ということだが、「あ〜、この子があの時の子供か」という照合作業で頭がやや混乱するが、それでもよく出来た映画だと思った。
日常の何気ない部分を三浦春馬が本当に上手に演じている。それに尽きる映画だなとしみじみ感じた。
激しく泣いたり、笑ったり、叫んだりという演技はわかりやすくていいが、そうでな微妙な感情を表現する演技というのは難しいと思う。それをちょっとした表情、指先の動きなどでうまく表現しているところがすごい。
亡くなってしまってからは敢えて選んで三浦春馬君の映画を見せてもらっているが、どの作品でもその演技力に魅せられる。本当に惜しい人を失ってしまったものだ。
サブタイトルの「あの時、あの場所で出会ったのが君で本当によかった」。
人生はそんな偶然でガラリと変わってくる。「たまたま」なのか「必然」なのか分からないが、「たまたま」が2回続けば「これは運命か?」と感じたりもする。そんな「錯覚」や「思い込み」で運命は変わってしまうもの。
人のそういう感情は不思議なものだなってつくづく感じる。人と人の出会いもそんな感じ。そんな出会いで結ばれて、その出会いと結果を「あれでよかった」と自分で認めていく。「それでいいのだ」と肯定する。
多分、それでいいのだ。
そう思わせてくれる素敵な映画だった。