
2007年に放送され、企業買収という斬新なテーマを扱い話題となったNHKドラマの映画化。徹底した合理主義で多くの企業の買収を成功させてきた敏腕ファンドマネージャーの鷲津は、日本の閉鎖的なマーケットに絶望し、海外にその活躍の場を広げていた。ある日、鷲津のもとを盟友の芝野が訪れ、中国系ファンドによる日本の大手自動車メーカー買収を阻止してほしいと依頼する。主演はドラマに引き続き大森南朋、敵対する“赤いハゲタカ”を玉山鉄二が演じる。
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これが元々NHKドラマだったとはびっくりだった。2007年の映画になるが、中国資本のファンドが日本の大手自動車メーカーを乗っ取ることに対して、一度日本の閉鎖的な仕組みに絶望したファンドマネージャーが再び立ち上がる。
終盤から中国ファンドを追い詰めて大逆転をしていく様は痛快であるが、その後の結末はとても切なく悲しい。そんなところをうまく表現していて見応えのある映画だった。
今のNHKではこの設定では作ることはできないのではないかと思ってしまうだけに、なかなか面白い映画となっている。
主役の大森南朋の演技は結構私は好きで、これを地味な演技というのか渋い演技というのかわからないが、観ていて飽きさせない。それと比べて柴田恭平の演技はまったく違うタイプで、その対照的な演技がこれまた面白い。
玉山鉄二も好きな俳優さんで、最初のいきり立っている時と最後の潰された時の哀愁をなんとも上手に演じている。大手自動車メーカー社長の遠藤憲一も、ヤクザのような顔なのだが、そのオロオロする様がなんともいい味を出していた。
ドラマを観ていないので、松田龍平の役どころが今ひとつよくわからなかったのが残念なところだった。
こういった金融ドラマを観ていると、戦国時代の一緒だなと感じる。情報とスピードと決断。詰まるところはいつも人間対人間。
すべてのものはそういったところへと向い、わかった積もりになっていても、結局は何年もかけて場数を踏み、あらゆる思いつく限りの失敗をしていかないと最終的なところへはたどり着けないのだろう。
手法・テクニックだけ分かったとしても、それでいくつかは勝てても、やはり最終的なところへたどり着くには回り道をしないことにはたどり着けない場所なのだと思う。