
「おおかみこどもの雨と雪」の細田守監督が同作以来3年ぶりに送り出すオリジナル長編アニメーション。渋谷の街とバケモノたちが住まう「渋天街(じゅうてんがい)」という2つの世界を交錯させながら、バケモノと少年の奇妙な師弟関係や親子の絆を描く。脚本も細田監督が自ら手がけ、声優には、渋天街のバケモノ・熊徹に役所広司、人間界の渋谷から渋天街に迷い込み、熊徹の弟子となって九太という名前を授けられる主人公の少年に宮崎あおい(少年期)と染谷将太(青年期)、ヒロインとなる少女・楓に広瀬すずと豪華キャストが集結している。第39回日本アカデミー賞の最優秀アニメーション作品賞を受賞。
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3回目の鑑賞。好きなアニメ映画だ。
「人間は弱い。だから心に闇を持っている。」
「意味なんて、てめえで見つけるんだよ!」
「父さんは、俺の何を知っているんだよ!」
前作の「おおかみこどもの雨と雪」では、母と子を描いた。
この映画は、父と子の姿を師匠と弟子という視点から鋭く描いている。
自分の息子のことは、わかっているようで何もわかっていないのかもしれない。正直、小さい頃のイメージだけで、あとはそのイメージを自分なりに膨らませて想像し、ピュアな青年を作り上げてしまっているのかもしれない。
自分自身のことを考えてみてもそう思う。
ドラマや映画の中で罪を犯した息子に対して母親が「私の〇〇ちゃんはそんなことをする子じゃない!」と狂乱して叫ぶのもその典型なのかもしれない。
自分は息子のことは何も知らないのかもしれない。
親子とはそういうものなのだ、きっと。
自然界の動物を見ていても、みんなそうだ。
幼い頃は命がけで守るが、ある時期を境にして厳しく突き放す。
母と子の密着を引き離すのも、父親の役目なのかもしれないと思っている。
それまでは、どうにか一人で生きていけるようにとたくさんのことを教える。
子たちに教えるというのは、自信と充実感に満ち溢れていて、快感でもある。
「伝えた」という満足感も得られる。
背中を見て真似をしてくれること、こんなに嬉しいことはない。
そんなことをアニメのキャラクターで表現しているところがすごい。
父親としては涙なしでは見られない映画だ。