
原作はグスタフ・ハスフォードの処女小説「短期応召兵(ザ・ショート・タイマーズ)」。米海兵隊3092小隊の新兵たちはいじめ、侮辱が横行する環境下、過酷な訓練を強いられる。人を殺すことを教え込まれ、人間性が奪われていった新兵のひとり、パイルはついに精神を病み自殺してしまう。その後、それぞれベトナムへ送り込まれた新兵たちだったが……。戦火のシーンではスローモーション技術を駆使し、兵士の死をリアルに描いている。
映画.com
まだ観ていなかった。スタンリー・キューブリックの戦争映画。やっぱり観ておかないと。
徴兵によって若者がバリカンで坊主にされるシーンから始まる。ウエーブのかかった長い髪がバッサリ刈り取られ、兵士へと変わる瞬間。
次は厳しい訓練。これは私の中では、「愛と青春の旅立ち」でのリチャード・ギアとフォーリー軍曹とのやり取りそのものだった。前半はその厳しい訓練の様子と、悲しい結末で一区切りつく。
そして、第二部ではそのみっちりと厳しく訓練された海兵隊員たちがいよいよベトナムへと送られる。いきなりの実戦に触れながら、少しずつ少しずつ人間性が変わっていく様がもう見事としか言いようがない。
人は環境によってこうも変わっていくものかと思う。戦争は人を変える。平和な街で暮らしている時では考えられないようなことが目の前で起こることによって、それに対処すべく自分を変えないと生きていけない。訓練でもミルミルと兵士らしくなっていくのだが、実戦によって目の前で今まで一緒に苦労してきた仲間が殺されていくことで、心が鬼になっていく。
前半の部分が退屈かと言うとまったくそんなことはなく、前線で使えるような兵士に仕立て上げるために上官は下品な言葉を使って何度も何度も精神的に叩きのめす。クズだクズだ、お前は価値のないウジ虫だと罵る。そのような手法は現代社会でも当たり前のようにある風景かもしれない。
実戦になると、リアルな人の生き死にを目の当たりにする。ヘリから地上で逃げ惑う一般人たちを無差別に銃で撃ち殺しているのを見る。そしてその時の顔がなんとも不気味な笑顔だったことで、吐き気を催す。しかし、そんなことにも少しずつ慣れていってしまうのだ。
そんな怖さをじわじわと感じる恐ろしい映画であった。
やはりこれは名作かもしれない。
前半の主役とも言える『ほほえみデブ』役のヴィンセント・ドノフリオ、この作品以降も結構出てて、メンインブラックの宇宙人役をはじめ近頃は人間味のある役でも見かけます。
MIBのメイクを見てすぐに思い出しました。この人だったんだー!この映画も、MIBもすごくインパクトありました。他のも観てみたいですねぇ。