
織田裕二の4年ぶりとなる映画主演作で、2014年に舞台化、15年にドラマ化もされた放送作家の樋口卓治による同名小説を映画化。数多くのレギュラーを抱え、忙しい毎日を送るバラエティ番組の放送作家・三村修治は、体に異変を感じて検査を受けるが、その結果は余命わずか6カ月の末期のすい臓がんという信じがたいものだった。放送作家として、世の中のさまざまなこと「楽しい」に変えて来た修治は、自分がいなくなったあとも、妻が前を向いて生きていけるようにと、ある企画を思いつく。それは、自分が死んだ後の妻の新たな結婚相手を探すことだった。織田が修治役を、吉田羊が妻・彩子役を演じる。監督は、数多くのドラマを手がけ、「阪急電車 片道15分の奇跡」で映画初メガホンを取った三宅喜重。
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織田裕二という役者は、口をへの字にして、力強い眼で相手を睨み付け正義を叫ぶというイメージがある。それは時に冷徹にも見えるが、その奥には苦悩と愛がある。勝手にそんなイメージがあった。
この映画では、バラエティー番組の放送作家。常に面白い発想で視聴者を笑わせる企画を考える仕事。そんな男が突然体調不良で検査をしたら余命数ヶ月の末期癌。自分が死んだら妻と息子は露頭に迷うのではないかと考え、経済力と包容力のある男性を探して妻が再婚できるように努力する。
その必死さに胸を打つ場面もあるのだが、どうも主人公には感情移入できないところがある。そこも折り込み済みだとは思うのだが、やはり映画に入り込めない。それをもっとチャラい役が似合う俳優ならまだしも、織田裕二が演じているところが微妙なのだ。
しかし、その違和感を吉田羊がうまく中和してくれていてどうにか映画としては成り立っているのかなと思う。吉田羊はとても魅力的で頼りがいのある女性として描かれている。確かにこんな奥さんだったら他の男にも推薦したくなるだろう。これが織田裕二じゃなくて大泉洋だったらまた違った映画になっていたかもしれない。そんなふうに思った。