
直木賞作家・角田光代の原作小説を、井上真央、永作博美の主演で映画化したヒューマンサスペンス。監督は「孤高のメス」の成島出。1985年、自らが母親になれない絶望から、希和子(永作)は不倫相手の子を誘拐してわが子として育てる。4歳になり初めて実の両親の元に戻った恵理菜(井上)は、育ての母が誘拐犯であったと知り、心を閉ざしたまま成長する。やがて21歳になった恵理菜は妊娠するが、その相手もまた家庭を持つ男だった……。
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以前から観たいと思いながらなかなか観られなかった作品。やっとAmazonプライムで観ることができた。
井上真央と永作博美の演技の真骨頂。最初から最後まで見入ってしまった。そしてもう一人、小池栄子。この女優さんもいつもいい演技するなぁと感心する。
男性では田中哲司。井上真央の父であり、永作博美の不倫相手だが、微妙な役どころを上手に演じている。
この映画の中には幸せなそうな人はあまり出てこない。
不倫する人、不倫された人、その不倫で生まれた子供、その子供を誘拐した人、その子供と幼い頃一緒に育った人。どうして世の中にはこんなに不幸な人ばかりなんだろうって思うほど。
映画は全体的に暗い感じで、笑顔もない。
自分はどうしてこんなにも不幸なんだろう?いつからそうなってしまったのだろう?誰のせいなのだろう?自分が悪いのか?そんな感じで最初から3分の2くらいまで進む。
終盤になって少しずつ記憶の細い糸を辿っていき、希望を見出していく。
その細い線を辿っていった先に小さな希望の光を見つけた時に、自分の存在を認めることができるようになっていく。そんな希望の映画のように思えた。
永作博美と井上真央の演技に心がギュッと掴まれる。激しい感情の動きはないのだが、どうにも動けないまま映画の中に集中する。あっという間の2時間半ほどだった。