
「箱入り息子の恋」の市井昌秀監督のオリジナル脚本で、草なぎ剛、MEGUMI、中村倫也、尾野真千子、藤竜也らが演じるひとクセある家族たちの姿を、ブラックユーモアを交えて描いたコメディドラマ。鈴木一鉄と妻の光子は銀行から2000万円もの大金を強奪し、行方がわからくなっていた。事件から10年たったある日、いまだに所在がわからない両親の仮想葬儀で財産分与をおこなうため、鈴木家の子どもたちが集まる。どんな仕事も長続きしない長男の小鉄は妻の美代子、娘のユズキとともに10年ぶりに実家へ訪れ、長女の麗奈、次男の京介とともに、空の棺おけを2つ並べた見せかけだけの葬儀を始める。葬儀が終わった頃にインターホンが鳴り、間に合わなかった末っ子の千尋がようやく到着したかに思われたが、ドアの外に立っていたのは千尋ではない、チャラチャラした男だった。長男役の草なぎ、長男の妻役の尾野、父親役の藤のほか、MEGUMI、中村倫也、榊原るみらが顔をそろえる。
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公開直前に新井浩文の不祥事によって公開延期になり、短期間での上映になってしまった作品。そして新井浩文の最後の作品にもなってしまった。ポスターにも新井浩文は写っておらず、予告編でもほぼわからない。映画の紹介文でも新井浩文の名前がないことも多い。
草彅剛が主演であるが、元ジャニーズとは思えないほどの汚れ役を演じているが、かなり頑張っている。個人的にはMEGUMIと新井浩文の演技が良かった。
認知症の老いた母親の役が誰か分からなかったが、途中で榊原るみだと知って驚いた。何も分からなくなった榊原ぬみの生活全てを介護する夫の藤竜也が格好良かった。
話は、10年ぶりに集まった4人の兄弟が親の遺産目当てで醜い争いをする。少しずつそれぞれの現状が見えてきて、更に醜態を晒す。しかし、そこから少しずつ状況が変わってきて、また違う方向へと話が変わってくる。その展開が面白く、俳優陣も見事に演じている。
2時間もない映画ではあるが、最後まで飽きさせず笑いもあり、最後は切なくもあり、良質のエンタメになっている。
あまり目立たないが、尾野真知子の演技がなかなかいい。
それにしても新井浩文の引退は非常に残念でならない。日本映画には貴重な役者であった。