
「いい映画だったよ、観る?」
と妻が借りたDVDを手渡され、ジャンルもあらすじも何も知らないまま鑑賞。
それだけに油断していた。
2020年3月20日公開という最悪のタイミングで、こんなにいい映画を劇場で観られなかったのが残念。
ドラマ「家政婦のミタ」「女王の教室」など数多くのヒットドラマを手がけた脚本家・遊川和彦のオリジナル脚本による第2回監督作品。波瑠と成田凌演じる2人の男女の出会いからの30年間を3月の出来事だけで紡いでいく恋愛ドラマ。1986年3月1日、運命的な出会いを果たした弥生と太郎は、互いに惹かれ合いながらも、親友であるサクラを病気で亡くしたことから思いを伝えることができずにいた。2人は、それぞれ結婚し、家庭を持ち、別々の人生を歩んでいった。しかし、離婚や災害、配偶者の死など、厳しい現実を前に子どもの頃から抱いていた夢の数々はもろくも絶たれてしまう。人生のどん底を味わう中、30年の時を超えて、今は亡き友人サクラからのメッセージが届く。弥生役を波瑠、太郎役を成田が演じるほか、杉咲花が親友のサクラに扮した。
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波瑠ちゃん演じる「弥生」は、真っ正直な正義感を振りかざしたピュアな女性。それとは対称的にいつもヘラヘラとして天真爛漫なおバカ男子っぽい「山田太郎」を成田凌が演じる。
高校時代からお互いに両想いなのに、なかなかそれを伝えられないまま、それぞれの人生が劇的に思わぬ方向へ変化していってしまう。それぞれに人生のどん底を味わい、その都度微かな接点がかろうじて残っている。そんな細い細い糸を、お互いに断ち切らず、そして切られそうになっても誰かが必死につなぎ止めてくれている。
人生なんて思い描いたようになんて展開しない。「どうしてこうなってしまうのだろう?」ということばかりが続く。「もう最悪だ!」という出来事も次から次へと起こり、「もうだめだ・・・」という思うことも何回あっただろう。それでもそれでも、そんな時でも1本の糸を垂らしてくれていたり、暗闇の奥に小さな光が見えたり、底無し沼に落ちたと思って諦めても、ふと最後に蹴った場所がまさかのどん底で浮上出来たり。
そんなこんなを繰り返して、今自分はここに居て、ちゃんと呼吸をしている。
そういう今までの自分のことを走馬灯のように思い出させてくれるような映画だった。思い描いた人生とは違ったけど、これはこれでいい人生だったかもしれないなって思わせてくれる映画だった。
出来ることなら、映画館で再上映してくれたら是非観に行きたい映画である。