
青山真治監督の「サッド ヴァケイション」以来4年ぶりとなる新作。「東京バンドワゴン」でブレイクした小路幸也の小説が原作で、主演の三浦春馬はカメラマン志望の大学生・光司を演じる。公園で家族写真を撮り続ける光司のもとへ、「彼女を尾行して写真を撮ってほしい」という依頼が舞い込んだことで、ゆるやかな距離でつながっていた女性たちとのあいまいな関係が微妙に変化していく。人間関係の間で揺れ動く繊細な役どころで新境地を開拓した三浦とともに物語を彩るのは、榮倉奈々、小西真奈美、井川遥。
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映画の紹介文を読んでも、どんな映画なのかよくわからなかったが、三浦春馬君をはじめとする好きな俳優さんが出演しているし、評価も良かったので観てみた。
出てくる登場人物の説明がなくて、この人はどういう関係の人? え?幽霊なの?と言った具合に相関関係がよくわからないまま話が進む。関係が分かりにくと、会話の中からそれを伺おうと映画に集中していくか、入り込めずにながら見になるかのどちらかだが、この映画は三浦春馬君の演技の巧みさでついつい引き込まれた。
三浦春馬君の作品はいくつか観ていた。「きみに届け」も好きな作品だった。検索していくと、こんな短期間にこんなたくさんの作品に出演していたのかと驚くほどだ。そして、どれも手抜きと感じさせることはなく、どれも繊細で見事な演技である。今更ながら惜しい俳優さんを失ったものだと残念に思うばかりだ。
映画は、三浦春馬君と染谷君の見事な掛け合い、そして榮倉奈々ちゃんが元気で強気な笑顔の裏にある寂しい部分を見事に演じていた。
今回いちばん目が離せなかったのは、小西真奈美さん。後半の三浦春馬君とのロングのシーンでの演技は目が釘付けになった。まぶたの動きの細かいところまで神経が研ぎ澄まされていて素晴らしかった。
全体として分かりにくい部分もあるし、あの幽霊の死因はなんなの?とか、どうして三浦春馬君にしか見えないの?とか、疑問な点はあるけど、そこは特に解明しなくても主題には影響ないのでいいのかもしれない。
歯科医とその妻である井川遥さんとの関係もよくわからないし、そこは描かれていない。それも気になって仕方がないというわけでもないし、それがわかったことでどうってことないのかもしれない。
いい映画を観たなぁって思える作品。邦画でしか味わえないこの感覚。
ありそうで意外とないんだよなぁ。