
清掃の仕事をしている23歳のアン(サラ・ポーリー)は、夫のドン(スコット・スピードマン)と、二人の娘とトレーラーハウスで暮らす主婦。しかしある日、突然の腹痛に倒れ、トンプソン医師(ジュリアン・リチングズ)に癌で余命2~3ヵ月と宣告される。アンはドンと母(デボラ・ハリー)には貧血だと説明。そして夜更けのコーヒーショップで今までの人生を振り返りつつ、死ぬまでにしたいこと10項目のリストを作る。さっそくそれを実行していくアン。そんな時、コインランドリーで、コーヒーショップにいた男リー(マーク・ラファロ)が声をかけてくる。帰宅し洗濯物の袋を開けると本が一冊入っており、電話番号を書いた紙が挟まれていた。恋人と別れたばかりというリーの家を訪ねたアンは、彼と恋におちる。優しい夫のドンには、隣の家に越してきた自分と同じ名前のアン(レオノール・ワトリング)が、新しいパートナーになってくれるよう密かに願う。そして、10年も刑務所にいる父(アルフレッド・モリーナ)と面会。したいことを一通り実行したアンは、母やドンやリーに最後のメッセージをテープに録音して、亡くなるのだった。
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あらすじも読まずに干渉をはじめたが、最初はジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの「最高の人生の見つけ方」の若い女性版かと想像していた。
しかし全然違った。
23歳の女性は、いわゆる底辺の生活。そんな中で導き出した10のこと。治療はせずにいつもの生活をしていく中で、他の男と恋に落ちたり、愛する娘のためのこと、優しいけど役立たない夫のこと、刑務所の中の父に会うこと、いつも悲観的な母へのことなど。
それらのことが、観ている間に考えれば考えるほど深くて深くて深みにハマる。どうしてそうなんだろう?なんでだろう?と。
死を宣告されて、人生やっと目が覚めた感じがしたという。
もう数回観ないとよく分からないかもしれない。ちょっと一筋縄ではいかない映画。期待したものと違っただけに、批判するのは簡単だけど、これはもしかするとすごい深い映画かもしれないぞと思わされる。
邦題の「死ぬまでにしたい10のこと」というのが罠だ。
原題は最後のエンドロールで分かったが、
「My life without me」
直訳すると、私なしの私の人生。
自分が死んでいなくなった後に続く私の人生のためにやるべきこと。
妻としてやるべきこと、母としてやるべきこと、娘としてやるべきこと、そして一人の女性としてやっておきたいことが挙げられていた。とても切実なこと。
とてもリアリティのあることだった。
ぜひこの映画はもう一度、じっくりと観たい映画。もう一度観て噛み締めないといけない映画かと思う。