今ここから

なんだかんだで人生飽きないように好奇心だけで生きてきたけど、こんなんでよかったのかなぁ?と言うブログ。

映画

映画「点」

投稿日:

俳優の山田孝之が、2017年9月メジャーデビューの新人ガールズバンド「yonige」とタッグを組んだショートフィルム。「愚行録」で長編映画デビューを果たした石川慶監督が、「yonige」のデビューアルバム「girls like girls」のリード曲「ワンルーム」の歌詞で描かれている世界観、物語から着想を得てオリジナル脚本を執筆し、メガホンをとった。山田演じる主人公の理容師が、幼なじみの元恋人と再会したことから、揺れ動く2人の心を描く。ある夏の日、理容師の高志が田舎町で営む床屋に、高志の高校時代の恋人で幼なじみのともえが訪れ、2人は14年ぶりに再会する。結婚式を間近に控えたともえは、うなじの毛を剃ってほしいと頼み、高志は少し戸惑いながらも、ともえを店の中へ招き入れるが……。

映画.com

 26分という短いドラマ。

 14年前の高校時代に付き合っていた幼なじみのふたり。当時、お互いに夢を語っていた。

 卒業して、彼女は街を出ていき、彼は結局その街に残り父の跡を継いで理容師を営んでいた。

 彼女は携帯電話の向こうの男性との関係に限界を感じていた。ひとり実家に帰ってきて、翌日友人の結婚式に参列するのにうなじの毛を剃ってもらうために元カレの理容院へ手土産のバウムクーヘンを持って出かけた。

 お互いにぎこちない態度。呼び方さえも昔のように呼べないでいる。

 「付き合ってた」と言う一言も、

 「私はそう思っていたけど・・・」と小声で付け加える。

 彼女の長い髪に櫛を通すだけでも、見ているこちらがドキドキする。

 髪をまとめて上に巻き上げたときに見えるうなじの美しさ。そして、そこに見えるひとつのホクロ。

 「ホクロ、思い出した」

 「私は忘れてた・・」

 「俺は好きだったけど」

 そんな「好きだった」と言う言葉に「ピーン」と反応してしまう。

 なんとも言えない緊張した時間はあっという間に過ぎて、何事もなく彼女は「じゃあね」と帰っていく。

 それだけの短いドラマなのだが、ふたりの演技に色々な背景を思い描いてしまう。高校時代の二人はどうだったのか、卒業してから二人それぞれにどんなことがあったのか、今はどうなのか?どうしてわざわざ元カレのところにうなじを整えにきたのか?なぜバウムクーヘンを持ってきたのか、劇中では何も語られないが、なんとなくわかってしまう。

 26分だけど、2時間の映画を観たようなボリュームを感じた。

 

 

-映画

執筆者:


  1. しんちゃんママ より:

    コメントを読んだだけで、ステキ。
    26分なら、しんちゃんママも大丈夫そう。

    • KURI より:

      しんちゃんママさん
      登場人物は、この二人と彼女のお母さんの3人だけ。結局、男性の方に家族がいるのかどうかもよくわかりませんでした。「あとは想像にお任せします」ってところがいいのかもしれません。

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」

 また観てしまった。  「どれだけ好きなんだよ!」って自分に言っている。  昨夜ひとりでこっそり観たので、妻には言っていない。言ったらおそらくため息混じりに「ほんと、好きねぇ」って言われるのがわかって …

映画「東京少女」

 100年の時を越えて繋がった携帯電話がもたらす切ない恋を綴ったファンタジック・ラブストーリー。SF作家を夢見る高校生の未歩は、地震をきっかけに携帯電話をなくしてしまう。取り戻すために自分の番号に掛け …

ドラマ「地の塩」

神村賢作(大泉洋)は、歴史を覆す大発見をした勤勉な考古学者。彼が発見した塩名遺跡は、定説では日本に人類が存在しないとされる時代のものだった。遺跡が発掘された塩名町は、過疎化が進んでいたものの、一気に観 …

ドラマ「分身」

札幌に住む女子大生・鞠子(長澤まさみ)は、母からなぜかあまり愛された記憶がなく、さらには、その母が火事で不審死した過去を持つ。ある日、出生の秘密を探り始めた鞠子は、自分とまったく同じ顔、姿形をした女性 …

映画「1944 独ソ・エストニア戦線」

ドイツ武装親衛隊に属する、エストニア人のカール・タミクの両親と妹は、ソ連赤軍によって極寒のシベリアに追放された。1940年から始まったソ連による弾圧は、多くのエストニア人が悪評高きナチス・ドイツに身を …