今ここから

「伊勢金比羅参宮日記」を含む歴史関係、映画鑑賞の記録、日々の料理レシピ、乾癬について、山歩き、生活の知恵、5人の子育てなど、多岐にわたる個人ブログです。

映画

映画「白ゆき姫殺人事件」

投稿日:

 この映画も観たような観ていないようなって気持ちで見始めた。

 観ているうちに、やっぱり「観ているわ」って思いつつも、その後の展開がまったく思い出せない。

 結局、最後のオチまで観て、「あぁやっぱりこれ観ていたわ」ってことになった。

 記憶力がやばい。

 そのおかげで、1本の映画を何度でも楽しめていいかもしれない。

 この作品は、井上真央ちゃんの演技が素晴らしい。朝ドラの時のイメージとはまったく違う。

 綾野剛くんのダメっぷりも見事だし、染谷くんの演技も脇役ながら秀逸。現在の大河ドラマの「信長」とはまるで別人。

 湊かなえさんの作品らしく、事実は各人の視点ごとに違う。人は自分の都合の良いように嘘をつき、それが真実だと思い込む。人の心理を深く掘り下げて、汚い部分を曝け出していく作風は、いつもドロドロとしたものを感じる。それでもまたそれを味わいたくなるから不思議だ。

 この映画では、Twitterが重要なポイント。たくさんのつぶやきによって、犯人が勝手に作り上げられていく。

 自分が犯人でないこともわかっているのに、そのつぶやきを見ているうちに「自分は何者だろう?」と思わされてしまう。そんな怖さを感じる。

 人は少ない情報だけで、イメージを膨らませてとりあえずの人物を作り上げてしまい、その作られた人物が一人歩きしていく。あたかも一人の人間のように動き出してしまう。

 数多くの人が認識するその作り上げた人物は一体何者なのだろうか?自分とはなんなのだろうか?

 私自身も、幼なじみの記憶の中の私と、両親や兄弟の記憶の中の私、妻や子たちの記憶の中の私、仕事関係の人の中の私。そんなみんなの記憶の集合体である。

 私が自分で自分のことを「こういう人間」って思っているのは、自分のごく一部なのかもしれない。少人数での記憶の集合体ならまだしも、これが日本中の人が想像し思い描いている犯人像が自分であったなら、そして、日本中の人が「そいつはきっとずる賢いやつ」「そいつは小さい頃からオカルト好きで根暗なやつ」「いじめられてトラウマを持ったやつ」という思い込みを持った時、果たして自分は自分で自分を維持できるのだろうか?と感じた。

 改めて「自分ってなんだろう?」と考えさせられた映画だった。

 そういうことを自然と感じられるような演技をしてくれた井上真央さんはなかなかすごいと思う。



-映画
-, , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

映画「永い言い訳」

「ゆれる」「ディア・ドクター」の西川美和監督が、第153回直木賞候補作にもなった自著を自身の監督、脚本により映画化。人気作家の津村啓こと衣笠幸夫は、突然のバス事故により、長年連れ添った妻を失うが、妻の …

映画「祈りの幕が下りる時」

阿部寛主演、東野圭吾原作による「新参者」シリーズの完結編。東野の人気ミステリー「加賀恭一郎シリーズ」第10作の映画化で、2010年に放送された連続ドラマ「新参者」、2本のスペシャルドラマ、映画「麒麟の …

映画「アバウト・タイム ~愛おしい時間について~」

「ラブ・アクチュアリー」のリチャード・カーティス監督が、タイムトラベルを繰り返す青年が本当の愛や幸せとは何かに気づく姿を描いたロマンティックコメディ。イギリス南西部に住む青年ティムは自分に自信がなく、 …

映画「シャーロットのおくりもの (吹替版)」

「スチュアート・リトル」の原作者E・B・ホワイトによるベストセラー小説を映画化したハートウォーミングなファンタジー。農場の娘ファーンに育てられた子ブタのウィルバーは、自分がいずれクリスマス用のハムとし …

アニメ「HELLO WORLD ハローワールド」

人気アニメ「ソードアート・オンライン」シリーズの伊藤智彦監督が、近未来の京都を舞台に描いたオリジナルのSF青春ラブストーリー。2027年、京都。内気な男子高校生・直実の前に、10年後の自分だという人物 …