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映画「百花」

投稿日:

”菅田将暉と原田美枝子が親子役で主演を務めたヒューマンドラマ。プロデューサー、脚本家、小説家として数々の作品を手がけてきた川村元気が2019年に発表した同名小説を、自ら長編初メガホンをとって映画化した。

レコード会社に勤める青年・葛西泉と、ピアノ教室を営む母・百合子。過去に百合子が起こしたある事件により、親子の間には埋まらない溝があった。ある日、百合子が認知症を発症する。記憶が失われていくスピードは徐々に加速し、泉の妻・香織の名前さえも分からなくなってしまう。それでも泉は、これまでの親子の時間を取り戻すかのように献身的に母を支え続ける。そんなある日、泉は百合子の部屋で1冊のノートを発見する。そこには、泉が決して忘れることのできない事件の真相がつづられていた。

出産を控える泉の妻を長澤まさみ、事件と深い関わりを持つ男を永瀬正敏が演じる。”

 

「1シーン1カット」。その効果なのだろうか、認知症の人にはこのように思考が移り変わっていくんだなぁって少し理解できる。

 子供の頃に母に捨てられたことがある泉(菅田将暉)はレコード会社に勤めており、妻・香織と暮らし妊娠していることがわかったところ。以前にそんなことがあったことで、泉は母との間に一線を引いていたが、一人暮らしをしている母のことは気にかけており、その母の記憶が徐々に失われていってしまっていることに戸惑っていた。

 自分も物忘れがひどくなり自分の記憶に自信を持てなくなってきていること、両親が同様であることもあり、かなり切ない映画だった。

 今までの記憶がなくなるほど残酷なことはない。親に「あなたは誰?」と言われた時の息子の表情。天才である菅田将暉しかできなかったかもしれない。生まれたての我が子を抱っこした時の顔もそう、どんな難しいシーンでも菅田将暉は天才的にその配役になっている。これは長澤まさみもそうで、認知症の義母と接する嫁の顔を見事に演じていた。そしてほんの10数秒ほどの出産シーンでも迫真の演技だった。

 なぜ母はあの時自分を置いていってしまったのか?それを知ってしまった時の息子の反応も、これは経験がないからわからないが、そうなるのかなと思った。

 自分で子供を育ててみると、親の大変さが理解できるようになってくる。そして、孫をこの手に抱っこさせてもらえると更に自分の両親への感謝が増してくるのを感じる。たくさんの思い出が湧き出てきて、あの時の親のセリフがいくつも蘇ってくる。

 そうか、自分にも私の妻にも気を遣ってあのセリフとあの行動だったのかと理解できるようになってくる。そんな答え合わせをしていくうちに、涙と共にいくつもの懐かしいシーンが思い起こされ、感謝の気持ちが止まらなくなってくる。これは両親だけでなく、義父母もそうであり、それぞれの祖父母も同じことなのだ。あの時にはわからなかったことが、何十年も後になってわかることがたくさんある。

 みんなその時その時、どうしたら嫌味じゃなくて素直にこの気持ちを伝えようか、どうしたらお嫁さんと仲良くできるだろうか?どう孫と接すればいいのだろうか?と、私が今そう感じて迷いながら行動しているように、あの時両親も精一杯気を遣ってくれていたんだなって感じるばかり。

 そんなことを深く考えさせられたいい映画だった。若い人にどう伝わるのか少し不安な映画でもあるので、せめて50歳を過ぎてからもう一度見直して評価して欲しい映画でもある。

 スタッフに幼馴染の名前があったのがうれしかった。同級生が頑張っているのは手放しにうれしい。しかも、お気に入りの映画だと尚更だ。

鑑賞後は、いつものトンカツ屋さんでロースカツ定食。

 いつもの味で美味しかった。

 今日も妻と一緒に映画を観て、一緒にトンカツを食べられたこと。ありがたいことです。

 

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執筆者:


  1. しんちゃんママ より:

    >妻と一緒に映画を観て、一緒にトンカツを食べられたこと。ありがたい
    ⇒わかります。
      きょうは朝からお墓参りでしたが、
      しんちゃんパパが午後出勤なので、家で昼食。
      セブンイレブンの冷凍チャーハンを半分っこ+いろいろ。
      一緒に楽しく、会話しながら食べられることは幸せ。  
      
      

    • KURI より:

      しんちゃんママさん
      >一緒に楽しく、会話しながら食べられることは幸せ。
       「なんでもないようなことが、幸せだったと思う♪」と悔やむ前に気づけてラッキーでした。(^_^)

      • しんちゃんママ より:

        >悔やむ前に気づけてラッキーでした。(^_^)
        ⇒そのとおりです。
          この年齢になると、あと何年、一緒にいられるか?を考えます。
          
          先代住職ご夫婦のことを思うと・・・。 
          結婚6年目&娘さん7ヶ月で、住職が40代で亡くなりました。
           お遍路中、手をつないだり、
           ブランコに二人で乗ったり、ラブラブ。
            ⇒気心の知れた信徒ばかりだから、全然OK。
          先代住職は再婚でしたが、仲良しご夫婦でした。
         
          「しんちゃんママさんがうらやましい(涙涙涙)!」と、
          先代住職奥様に何回も言われました。
          その時は先代住職の話をたくさんしました。   
          昨日もLINEでいろいろと。。。
          今は現住職を支えながら、先代住職の遺志を継ぎ、
          社会福祉活動にがんばっておられます。
          
          
          

        • KURI より:

          しんちゃんママさん
          >この年齢になると、あと何年、一緒にいられるか?を考えます。
           私も同じです。同級生がポツポツと旅立っていくと、夫婦で今までと同様に映画を見てトンカツ食べることだったり、ふたりでいつもの桜を見ることだったり、毎年ふたりで欠かさずやってきたことはとっても大事に思えます。
          >結婚6年目&娘さん7ヶ月で、住職が40代で亡くなりました。
           そういうお話を伺うたびに、「自分はなんて恵まれているんだろう」と思います。ありがたいことです。

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