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映画「紙の月」

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「八日目の蝉」や直木賞受賞作「対岸の彼女」など多数の作品で人気を誇る作家・角田光代のベストセラーで、テレビドラマ化もされた「紙の月」を、「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督が映画化。宮沢りえが7年ぶりに映画主演を務め、年下の恋人のため顧客の金を横領してしまう銀行員の女性を演じた。バブル崩壊直後の1994年。夫と2人で暮らす主婦・梅澤梨花は、銀行の契約社員として外回りの仕事に従事し、その丁寧な仕事ぶりで周囲にも評価されていた。一見すると何不自由ない生活を送っているように見えた梨花だが、自分への関心が薄い夫との関係にむなしさを感じていた。そんなある日、年下の大学生・光太と出会った梨花は、光太と過ごすうちに顧客の預金に手をつけてしまう。最初は1万円を借りただけのつもりだったが、次第にその行為はエスカレートしていき……。2014年・第27回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、最優秀女優賞と観客賞を受賞。第38回日本アカデミー賞でも最優秀女優賞を受賞した。

映画.com

 「八日目の蝉」に続いての角田光代氏原作の映画化。こちらも独特の暗さが漂っている。

 何より目が離せないのが宮沢りえの演技。小さい頃から今に至るまで、どの時代でも魅力的であり続けるすごい女優さんである。

 どうしてこの銀行員女性は、顧客の大金を横領してまで若い男につぎ込んでしまうのだろう?

 裕福な家に育ち、エリート社員と結婚し、不自由なく暮らしているように見えるのだが、どこに不満があるのだろう?と思ってしまう。

 何に抑圧を感じていたのか、そして、何に快楽を得たのか。それは中学校時代の教会での海外援助金にその要因の一部があったと表現している。しかし、それだけではないだろう。

 夫の自分への無関心であったり、気遣いの無さだったり、自分の行動に対してのリアクションの無さだったり。しかし、そのくらいのことは誰にでも当たり前にあることで、それでその都度横領していたら日本は犯罪ばかりになってしまう。

 そこで犯罪に出を出してしまう人と、そうでない人との差はどこにあるのだろうか?たったちょっとしたきっかけなのかもしれない。そんなちょっとしたタイミングの悪さだったり、神様の悪戯のような出来事や、魔が刺したというようなことがきっかけで、転がるように悪い方へ転がって誰にも止められなくなるもののような気もする。

 転げ落ち始めて、まだ自力で止められるうちは「まだまだ大丈夫」と思ってしまい、自分ではどうにもならなくなった時にはすでに時遅しになっている。そんなもんかと思う。これはどうにもならないことなのかもしれない。

 「もしもあそこに行かなければ」「あの一言を言わなければ」「忘れ物を取りに戻らなければ」、そんな後悔しても仕切れないもので運命は変わっていってしまう。それによって起こってしまった不幸な出来事は、やはりそれを招いてしまった自分に責任があるのだろうか?「それじゃ誰に?」と聞かれてもやはりそれを招き込んでしまった過去の因縁があったのだということになるのか。罪を憎んで人を憎まずというが、これは非常に難しい問題であり、突き詰めると人は人を裁けるのか?ということにもなってくる。

 「では、私はあの時どうしていればよかったのでしょう? その違う選択肢の先には幸せはあったのでしょうか?」それに答えられる人なんていない。



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