
視力を失う難病に冒された青年と、彼に無償の愛を捧げる恋人の姿を描いたドラマ。監督は「船を降りたら彼女の島」の磯村一路で、さだまさしによる同名小説を基に磯村監督自ら脚色。撮影を「アンテナ」の柴主高秀が担当している。主演は、「スカイハイ」の大沢たかおと「黄泉がえり」の石田ゆり子。第16回東京国際映画祭特別招待、文化庁映画芸術振興事業支援作品。
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2回目の鑑賞だが、1回目はどこで見たやら。WOWOWだったか?と言うくらい記憶にない。
映画の内容もほぼ覚えていなくて、新鮮な気持ちで見ることができた。主役の大沢たかおが、ベーチェット病を発病し、失明してしまうまでの話。
インドの雨季は、生命の芽吹きの季節と言うことで、僧侶は外を出歩かずに庵に篭って修行すると言う。野山を歩くと芽吹いた植物や小動物を踏み潰してしまうから。およそ9ヶ月間。安居と言う修行は行われる。
自分が視力を失っていく過程は本当に辛い修行のようなもの。失明した瞬間にその辛さは消えるはずだと故郷の長老が教えてくれる。
それまでの間、彼の目になり支えてくれる彼女石田ゆりことの修行を描く。
そして、その失明の瞬間が修行が終わる「解夏」を迎えることになる。
主人公の故郷である長崎の風景と、方言が優しく包み込む。みんなに支えながら視力を失っても希望を持って生きていく。
過去に同じ病気で視力を失った人と出会う。失明して困ったことは、歯ブラシに歯磨き粉をつけることだったと言う。しかし、それも翌朝には解決した。歯ブラシの上に歯磨き粉を乗せないといけないと言うことにこだわっていたからだ。先に口の中に歯磨き粉を入れてしまえば済むことだった。困ったことと言えばそれくらいだよ。
これから訪れるであろう不幸に怯えることも大切だが、必要以上に怯えることもない。こだわりを捨てればその不安も消え去る。そして、失明した時点でその修行は終わる。
そんな教えのような映画だった気がする。石田ゆり子の演技はこの頃からも素敵。そして、富司純子の凛とした姿も魅力的だった。