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映画「野火」

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1959年に市川崑により映画化された大岡昇平の同名小説を塚本晋也の監督、脚本、製作、主演により再び映画化。日本軍の敗北が濃厚となった第二次世界大戦末期のフィリピン戦線。結核を患った田村一等兵は部隊を追放され、野戦病院へと送られる。しかし、野戦病院では食糧不足を理由に田村の入院を拒絶。再び舞い戻った部隊からも入隊を拒否されてしまう。空腹と孤独と戦いながら、レイテ島の暑さの中をさまよい続ける田村は、かつての仲間たちと再会する。戦場という異常な空間で極限状態に追い込まれた人間たちが描かれる。共演にリリー・フランキー、俳優デビュー作の「バレット・バレエ」以来の塚本監督作品への参加となるドラマーの中村達也。

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  かなり強烈な映画だった。

 「フルメタル・ジャケット」でも、過酷な訓練や最前線での実戦において徐々に人間性が狂いだしていく姿が描かれていたが、それでもまだ一緒に闘う仲間がいた。その仲間のために戦うという救いがあった。

 しかしこの映画は、そこから更にもっともっと地獄を味わうことになる。飢えと失望と自分の生への欲求の悲しみから自分が狂人化していくこと。

 肺病を患った主人公の田村は、部隊からは入院しろと追い出され、病院へ着くと食糧不足を理由に返される。それを何度も部隊と病院を何度も往復し、その都度理不尽にも殴られ罵られ行くあてを失う。

 フィリピンレイテ島では米軍が有利になり、現地人からも狙われる状態。食料も底をつき、飢えと病気で動けなくなる。米軍の攻撃は恐ろしく機関銃によって大勢の日本兵がやられる。必死に逃げるが、仲間とは離れ離れ。かつての仲間にも裏切られ、極限の状態のなかで食糧を探す。

 その中で現地人を殺すつもりはなくとも結果的に殺すことになってしまい、その罪悪感に苦しむ。そしてある時、かつての仲間がサルを狩ってその肉を干したものを食べされてくれた。しかしその肉は仲間を撃ち殺したその日本兵の肉であったのだ。

 人間は極限までに追い詰められると、仲間を殺してその肉を食べてまで生きることに執着するのかどうか。そのことを描いているようにも見える。

 どうにか奇跡的に帰国することが出来た主人公田村は、戦争が終わって自宅で妻が作る料理を一人で食べるのだが、その料理を食べる前にはある行為をしないと食べられなくなっていた。

 本当にゾッとする映画だった。



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