
以前住んでいた家では、
窓を開ければ隣の家の窓があった。
その隣家の窓を手で開けられるくらい近かった。
今度の家も、そういう窓もあるが、
一つだけ見晴らしのいい窓がある。
自分がいつも登る山が見渡せる最高の窓だ。
朝、目覚めてその窓からの景色を見るのが楽しみ。
晴れた日、雨の日、雪の日、嵐の日。
それぞれ風景が大きく変化して楽しい。
これはもう宝物だ。
だが、しかし。
だがしかしだ。
最近、ある施設がつくられ、
背の高い立派なアンテナ塔がたった。
いつも登っている愛する山が、そのアンテナ塔によって
串刺しにされた。
そんなアニメ映画があったなぁ。
名探偵コナンの「天国へのカウントダウン」だったかな。
窓から見える裾野を広げた富士山が、
高層ビルによって串刺しにされた。
それが殺人の動機。
気持ちはわからなくない。殺人まではしないけど。
写真は、我が家からの景色ではなくイメージです。
最近気が付いたが、
そのアンテナ塔を含めた山のシルエットに慣れてしまった。
悔しいけど、「慣れるもんだな」って思った。
そのアンテナ塔で見えない部分は、自分の脳内で補正している。
自分の都合の良いように、データを改竄している。
慣れとは素晴らしい能力だ。

日常もこういうことをさらりとやっているのだろうな。
自分の考えに都合の良いデータだけをピックアップして、自分の考えをさらに強化していく。
それで周りと支障なく、自分も気持ちよく生きていけるうちはそれで良いけど。