今日も朝から1時間30分ほど散歩した後にいつものシネマホールへ行きました。本日の作品は小津安二郎監督の日本を代表する作品である「東京物語」です。
いつものシネマホールは「滋賀会館」という建物の5階で観ますが、今日は1階の大ホールでの鑑賞です。
入り口のホールではコーヒーの販売もおこなっており200円でホットコーヒーをいただきました。大ホーールに入ると、いつもならBGMでケニーGなどのイージーリスニングが流れているのが、今日は「東京ブギウギ」やら「東京カンカン娘」などの音楽が響いて、古い大ホールが昭和30年代にタイムスリップしたようでした。なかなか小粋な演出です。私も小さい頃に大きな映画館で映画を観た時の事を思い出しました。
客層は50~60代の方が多く、時折30~40代の人もいるという感じです。全体では100人弱くらいは入っていたと思います。
午前10時半に開始のベルがなりいよいよ始まりです。
小津作品を観るのは初めてです。 私が生まれる10年前1953年に公開された作品で、もちろん白黒映画です。画質もあまりよくありませんし、音声も時折聞き取りづらいところもありました。それでもすぐに映画の世界に引き込まれて行きました。
「独立した子供たちの元を訪れる年老いた夫婦と、それをあまり快く思わない子供たちを通して、家族の絆、夫婦と子供、老いと死、人間の一生、それらをシビアに描いたホームドラマである。」
私は原節子さんの演技を観るのも初めてです。主役の笠智衆さんは森田健作さんの「俺は男だ」でおじいさん役で出演されていたので知っていました。笠智衆さんの演技はとても坦々としていて、セリフも悪く言えば棒読みみたいなんですけど、どうしてあれほど味があるのでしょう。もう後半の演技も泣かせる泣かせる。(T_T)
原節子さんの演技もあれだけ有名なだけあって、本当に感動しました。どの人の演技も凄いのですが、一番光っていたのはやはり杉村春子さんでしょうか。憎たらしい役をうまく演技されていました。
白黒で画質は悪いし、音声も聞き取りにくいしドルビーシステムもなし、もちろんSFXもないのですが、どうしてこれだけ感動させられちゃうのでしょうか。先日最新の設備で観た「トランスフォーマー」がカスみたいに思えてきました。
小津監督の作品は、カメラアングルからして他とちょっと違います。専門的にはよく分かりませんが、人物の撮り方がいつもと違うなという印象。そして、情景を入れるのも、いつもならこの5秒ほどで次のシーンに変わると思う「間」が少し長くて、自分にしてはそこで数秒のタイムラグが出てきます。そして、その数秒がとっても、考えて映画を観るための重要な時間となることに気がつきました。本当に巧く出来ているなぁと感心してばかり。「ククッ」と笑ってしまうところも多数あり、泣かせるところはしっかり泣かせ、感動させるところ、考えさせるところもしっかりあって、鑑賞中にそれを頭の中で整理する時間の余裕もあります。
この映画、もちろん星5つ。そして、私の中では日本映画の中でベストテンに入る事は間違いなさそうです。
良い映画を最適の環境で観せてくださったシネマホールに感謝です。
映画「東京物語」
投稿日:
執筆者:biglobeKURI
小津安二郎監督の作品は1回観たいなぁと思っています。
この作品はしんちゃんママが生まれた年の作品ですね。
以前、テレビでリメイクされた時、この映画の映像が
流れたことを思い出しました。
>原節子さん
⇒幻の女優さんですね。
>笠智衆さん
⇒寅さんの御前様ですね。
>杉村春子さん
⇒1回だけ舞台を観ました。
念願の「杉村先生」の舞台に、感動しました。
あの存在感は・・・・・。
昔「秋刀魚の味」だったか、小津作品を見たことがあります。
ほのぼのとした感動があった記憶があります。
とりあえず「キサラギ」は11月に熊谷で上映されることがわかり
今から楽しみにしています。(でも、遅いなぁ…)
⇒幻の女優さんですね
私が生まれた頃には現役引退されていた女優さんです。
杉村春子さんの演技はキレがよくて、ほとんど神業に近いものがあります。
脇役であっても目を引いてしまうから主役の人にとってはやりにくいかもしれないなぁと思ったりします。笠智衆さんはそんな感じはまったくありませんでしたが。
とらちゃん
「秋刀魚の味」は1962年私たちが生まる1年前の作品ですね。それを観た事あるとはとらちゃんも映画通ですねぇ。
「キサラギ」は熊谷で上映されるそうで今から楽しみですね。期待以上の作品ですから、大いに期待しておいてください。(^_^)
そういえば、阪神が大変なことになっているようで。もしかしてもしかしちゃいますか?
小津さんの作品って本当に独特の間合いですよね。
台詞を言ってお茶を飲むシーンで、
監督は早いとも遅いとも言わず、ただ思ってる間合いに
ピッタリはまるまで、気が遠くなるほど撮り直した、と、
これはどなたが言ってらしたか忘れましたが 何かで読みました。
しまいには、自分がどんな演技をしてきたかも、
この速さは、1回やってだめと言われたのかどうかも、
分からなくなったそうです。
麦風さん
おっしゃるように独特の間合いでした。
そうですか、そんなに何度も撮り直していたのですか。
それだけ撮り直していると、演技している方も、撮っている方も何がいいのか分からなくなってきそうですが、そうでないところが凄いですねぇ。
「キサラギ」も「東京物語」も間合いに関しては独特なものがあります。キサラギは間合いというより「テンポ」と言った方がいいのでしょうか。