広く晴れ渡った春の青空の下は、まだ視覚から感じるほど暖かくなかった。
予報では、昼に向けて気温は上がるということだったので、厚着をせずに家を出た。
妻とふたり、2駅分を歩いて
コロナ禍で営業自粛から復帰した映画館へ。
昨夜までは「劇場版 シン・エヴァンゲリオン」の最終話を観るつもりだったが、
この日観る映画が上映最終日ということで急遽予定変更になった。
この映画館は、ロードショーの流行りの映画はもちろん上映するが、
その他にも、「え?この映画を上映してくれの?」という通好みの映画も演ってくれる。
支配人さんも、スタッフさんもみんな素敵な方々で好きな映画館。
今日は「心の傷を癒すということ 劇場版」という映画。
私は初めて妻に教えてもらったが、2020年にNHKで4回のドラマと作られたものを劇場版として再編集したものらしい。
言われてみれば、話と話の間がスンと飛ぶところがあったなぁと思ったが、
言われなければ、「そういう演出だったんだな」っていうレベルで気にならない。
あらすじは、引用する。
幼いころに自分のルーツが韓国にあることを知り、自分が何者なのか探求し続ける安和隆(柄本佑)は人の心に関心を抱き、父(石橋凌)から猛反対されるも精神科医を目指す。やがて映画館で出会った終子(尾野真千子)と結ばれ、待望の精神科医になった和隆だが、第1子が生まれて間もなく阪神・淡路大震災が発生する。彼は避難所を回りながら被災者に寄り添い、癒えない苦しみを抱えた人々の心のケアに尽力する。
この話は実話に基づく。
モデルとなるのは阪神・淡路大震災時、被災者の心のケアに取り組み続けた精神科医・安克昌氏だ。
キャストも、演技の上手い人をたくさん集めました!というくらいのベストメンバー。主役の柄本佑氏は「頑張りましたねー」と言った印象、濱田岳氏、尾野真知子さん、キムラ緑子さん、濱田マリさん、谷村美月さんは「さすがお見事!」、平岩紙さんも大好き、森山直太朗さんも「いいねー」と、みんな大好き。
エンドロールの森山直太朗さんの歌も心に沁み込んだ。
この映画には、心に響く名言が散りばめられていた。
以下ネタバレあり。
・小学生の男の子が避難所で弱音を吐かないことで、「じいちゃんが『男は弱音を吐いたらいかん、強くなければいかん』と言っとたし」というのに対して、
「弱いってええことやで」
「弱いからほかの人の弱いとこが分かって助け合える」
・自分が短所だったと思ってことが、「そこが君のいいところだよ」って言ってもらえたことで「これでいいんだ」と自分を肯定できて、
いきなり堰を切って涙があふれてしまう。
・後輩の先生に向けて励ます言葉
「北林先生はよう自分のこと鈍臭いって言うけど、焦ることない。
北林先生はゆっくり進むことでみんなが見落としたもん見つけられる人やと思うわ」
・妻の尾野真知子が「この前公園で、『(震災に遭った)神戸の人たちはバチが当たったんや』と言われた」と傷ついていたことで、
「その人は怖くて仕方ないんや。神戸の人は悪いことしたからバチが当たった、自分は悪いことをしていないから大丈夫って思わないと怖くて仕方ないんや」と言う。
・安先生が母親に車椅子を押してもらいながら、
「心のケアって何か分かった。
誰も独りぼっちにさせへんてことや」
「何や…あんたがずっとやってきたことやな」
出来ない理由や言い訳を次から次へと並べていて、
「理由がいっぱいあるってことは、無いのと一緒なんだな。」
役者さんたちの見事な表情と共に発せられる珠玉の言葉たちに、
思わず劇場内で嗚咽してしまいそうになってしまう。
そんなとても困った映画だった。
帰り道も
「いい映画だったな」
「いい映画だったね」
と話しながら歩いていつものトンカツ屋さんでロースカツランチを食べて帰った。
ブログ読んだだけで充分観た気分泣いちゃいます、災害モノ戦争モノ等、不幸が題材の作品は心身共に疲れて辛い、人それぞれでしょうがせいぜい40代前半までだったかな鑑賞できたのは…
Akiさん
わかります。災害系・戦争系・オカルト系・バイオレンス系・痛そうなやつは避けています。
ピュアな青春ラブコメが安心して観られますが、家族から「好きだねぇ」と馬鹿にされます。(^_^)