
今回のhigher groundツアー2回目の参加。
席も前回は1階で盛り上がったが、今回は4階で終始着席して観覧。また違う味わいのライブとなった。
私がASKAさんを一層好きになったのは、例の事件のあとからだ。その数年前から「PRIDE」や「月が近づけば少しはましだろう」「not at all」「ロケットの樹の下で」などで男心をガツンとやられ、挫けた時にはとても励まされていた。
56歳にもなればもっと立派な落ち着いた大人になっているだろうというのは単なる幻想で、若い頃の悩んでいた自分と大して変わっていない。周りの人が貼り付けたレッテルやら、自分で積み上げたと思っている実績やら責任やら、そして守るべきものが増えたことやら、維持しなければならないものやら、そんな破片の集まりで今の自分は虚像として成立しているのかなって思うこともある。
それらは自分の思い込みのようなもので、死ぬことが現実的になった時にはきっと一瞬にして消え失せてしまう幻のようなものなのだろう。しかし、今はそれがすべてであると思って生きている。
ASKAさんの曲を聴いていると、そんな小さな男のせつなさがじわじわと心にしみ込んできて、なんとも言えず拳を握り締めて人目をはばからず涙するのだ。でもその瞬間が心地よく、そして自分が愛おしく思えてくる。
今回のセットリストもそんな心の中のストーリーを上手に表現できるものになっていて、なんとも心地が良い。
1回目の京都の時は、新曲に戸惑いがあったが、今回はとても楽しめた。来年もう一度参加出来るが、そちらもまた楽しみ。また自分の中でどんな風景が広がっていくのか。どのように心が動いていくのか。
きっと今この時代を生きているみんなは、先行き不安で、自分にも自信が持てなくて、そんな中でも懸命にもがきながら日々を頑張っているのだと思う。そんな中で「俺も大変だったけどさ、どうにかやってるよ。この先もどうなるかわからないけど、とりあえずもう少しやってみようぜ!」と言ってもらえている気がする。

ライブに行った帰りは心と体がASKAに共鳴して、全体が元気よく振動しているのがわかる。