
夕暮れの京都白川沿いを平安神宮へと向かういつものお気に入りの道。
妻とふたりで、今日は30年来のファンであるASKAさんのライブ。昨年12月の公演が延期になり、年を越しての待ちに待ったライブだった。

照明が光を放つ前から会場は熱気に包まれていた。

懐かしい曲でも、「今この時だからこそ」心に響く曲がある。きっとそれを共感出来るだろうと選曲したに違いない。そう思う曲がいくつもあった。
今同じ時代を生きている。同じ時代を体感している我々だからこそ貴重な波動の共感なのだと思う。
そこに立って
そのとき わかることばかりさ
それが自分と思えたら軽くなる 歩ける
そんな歌詞が身体にしみ込んでいく。
あの頃の自分に戻してくれる曲、
今の自分を見守ってくれる曲、
これから歩むべき道を照らしてくれる曲、
頑張ってきたよねと肩を抱いてくれる曲、
さあこれからも一緒に歩んで行こう!という曲、
たくさんの曲たちが思わぬアレンジで百花繚乱した。
前回参加したライブでは、昨年11月に惜しくも亡くなられた「手数王」こと菅沼孝三氏がドラムを叩いていた。残念ながらその手数王はもういない。そして、今回はその娘さんである女性ドラマー「SATOKO」さんがお父さんと同じオーラを出して叩いていた。若くてピチピチのドラムなのだが、重いところはズシリと重く、軽快なところは跳ぶように跳ねる気持ちの良いドラムだった。目を細めながら、そしてお父さんの面影を映しながら聴いていた。振り向けばいつも笑顔でドラムを叩いてくれている。それは父も娘も一緒だった。
前回と違うメンバーがもう一人。ギターの是永功一氏。痒いところに手が届く気持ちのいいギターを弾いてくれる。「レベッカ」のギターの人と言ったほうがわかりやすいかもしれない。今回も伸びのある気持ちの良い歪み系のソロがたまらない。器用というのとは違うと思うのだが、何を弾いても上手い。とにかくうまい。そしてかっこいいフレーズを弾いてくれる。大好き。

今回のライブは4曲泣いた。
私よりもっと泣いている人がたくさんいた。手を合わせて祈っている人、両手を広げて大きな拍手をしている人、体を大きく動かして左右にリズムを取る人。声援を送れない代わりに、みんなどうにかしてこの弾ける気持ちを伝えようと一生懸命だった。
50代〜60代が多かったが、20代の人も多く、70代、80代の人もいらしたし、男性の数も回を重ねるごとに多くなっていく気がする。氷川きよしくんのファンとはまた微妙に違う雰囲気の人たちかなぁ。これは歌手の年齢の違いもあるだろう。
「みんなで老けるぞー!」「一緒に老けよう!」「おー!」って、みんなでやっているのが楽しかったな。
途中で「オレ後ろ向いているから適当にしてて」とメンバー同士で雑談が始まり、この間にトイレに行きたい人が走るというのが恒例になってきた。思いの外、かなりの人数がトイレに走って行った。
毎回そう思うが、今日のライブって今までで一番よかったんじゃないか?って思わせるところがすごい。無理してきてよかったと思うのも同じ。次はまたいつ会えるかもわからない。
「会えるときに会っておく」「行けるときに行っておく」
これはもう妻とも口を揃えて言うことだ。「いつどうなるかわからないからね。」それで後悔したことはない。
昼ごはんは食べ過ぎていたのでライブ前は食べずにライブに臨んだが、終了が午後9時になってさすがに小腹が空いてきた。

京都ロームシアターの帰りはいつもここと決まっている。これがいい。
妻とポテトを前歯でポツポツ噛みながら、「あの曲の入り方かっこよかったよねー」とか、
「あの演出にはやられたわぁ。もう泣けちゃったよ。」
「だよねー。それとあの曲で歌詞間違えたの気付いた?」
「え〜そうなの?わからなかったというか、その曲の歌詞よく知らないから間違えてもわからないかも」
「1番と2番との歌詞が混ざっちゃって、辻褄が合わなくなってきてて面白かった」
二人でこんな会話が出来るっていうのも、ASKAさんのおかげなんだよなぁってしみじみ思う。
さぁ、これで
これが自分と思えたら軽くなる 歩ける

午後10時過ぎの京都三条通りは、思ったより風が冷たく、そして静かだった。
気持ち球がなく残念です。基本コメントをもらった方に飲み返すようにしています。
今後はいちいちコメントしませんがあしからず。文面は楽しく読ませていただいております。
京都へこの前行ったのは4年前で、これまで10回は訪れています。好きな古都です。
nibari1498さん
コメントいただきありがとうございます。京都へは何度も訪れてらっしゃるとのこと。何度訪れても見足りない街でもあり、いつ訪れても新鮮な古都です。(^_^)
過日歩いた径ですか、すでに懐かしい…
Akiさん
そうです!一本橋のある白川。
あのイベントの時は、まだ誰もマスクをしていませんでした。それだけでもう懐かしいです。
同じ時代を生きて来て、コトバ1つで繋がる思い出があり、ひとつの歌にも同じ風景が広がる関係は尊いですね。
カラスさん
おっしゃる通りだと思います。共通のステキな思い出を持っている人を失った時の喪失感を味わうと、「尊い」ということを実感します。
きょう、「題名のない音楽会」は大好きなエリック・ミヤシロさんのバンドが出演。ドラムは若い女性で、すっご~く上手でかっこうよかった。川口千里さんと名前が出たので調べたら、師匠は「手数王」こと菅沼孝三さんでした。KURI様のコメントを拝見し、偶然とはいえ、ビックリ。
>「会えるときに会っておく」「行けるときに行っておく」
⇒同感です。自分が元気でも、親や家族の体調が悪くなったら、行きたくでも行けないし・・・。義父母が施設&病院にいた時は週6日、どっちかの顔を見に行っていたので、その数年間は習い事はすべてなし。観劇に行くと、必ず、義母が熱を出して、病院から電話あり、病院に駆けつけると平熱(笑)。
しんちゃんママさん
川口千里ちゃんのドラムは、あの華奢な体でどうしてあんなパワフルなリズムが刻めるのだろうって思うばかりです。ホーン界大御所のエリックさんが叩かせるくらいまで成長して菅沼孝三さんも「もう思い残すことはない」っておっしゃっていたのもうなづけます。娘のSATOKOさん、川口千里さん、現在のT-SQUAREドラムの坂東慧さん、愛弟子たちが第一線で活躍されていて、手数王の精神をずっと受け継いでいって欲しいものです。
>エリックさんが叩かせる
⇒川口さんを初めて知りましたが、聴く前から。
大御所エリックさんが抜擢したドラマーだから、
高度なテクニックをもっているのだと推測。
エリックさんが編曲した変拍子の曲を軽快にたたき、
すごいなぁと思いました。
女性のプロパーカッション奏者はたくさんいますが、
ジャズドラマーは余りみかけないので、楽しみです。
しんちゃんママさん
あの実力でまだ25歳。それでいてドラム歴20年ですから末恐ろしいです。ソロアルバムを聴いてみても、ドラムが心地よくてずっと聴いていたいリズムです。